あなたは「躁うつ病」や「過眠症」という病気をご存じでしょうか?
うつ病や不眠症ならなんとなく聞いたことがあったりイメージしやすいと思います。
同じメンタル疾患の部類になるのですが、症状は違うのです。
この映画の題材はそんな病気を抱えた女性が主人公です。
やや重たいように感じると思いますが、なんにせよ「生きる」ことがテーマの映画です。
なにも考えないでみるには正直言っておすすめしません。
どんな内容なのかをご紹介しますが、実際に映画をご覧になるかは自己判断でお願いします。
映画『生きてるだけで、愛。』のあらすじ
過眠症で引きこもり気味の寧子(趣里)は、恋人でゴシップ雑誌の編集部勤務の津奈木(菅田将暉)と一緒に住んでいる。
引用:シネマトゥデイ
感情のコントロールが苦手な彼女は、そういう自分に本気で向き合おうとしない津奈木に苛立っていた。
ある日、津奈木の元恋人の安堂(仲里依紗)が現れ、寧子を追い出すために、勝手にカフェバーのアルバイトを決める。
渋々働きだした寧子だが、少しずつ店の人に心を開くようになり……。
㊗️上海国際映画祭 出品決定?
— 映画『生きてるだけで、愛。』公開中! (@ikiai_movie) June 5, 2019
ドイツに続き、6/15~24に??中国で開催されるアジア最大規模の映画祭「#上海国際映画祭」パノラマ部門への正式出品が決定しました!?#生き愛 #関根光才 #趣里 #菅田将暉 pic.twitter.com/VPlChBga45
映画『生きてるだけで、愛。』のスタッフ・キャスト
原作:本谷有希子『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫刊)
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
監督・脚本:関根光才
<キャスト>
寧子:趣里
母からの遺伝なのか「躁うつ病」をわずらい、過眠のために仕事もにつけない。コンパで知り合った津奈木と同棲している。
津奈木:菅田将暉
出版社でゴシップ誌の記者として働くも望んだ仕事ではないため不満を抱えていた。
安堂:仲里依紗
津奈木の元彼女。たまたま津奈木を街でみかけてよりを戻そうとついて行くと寧子と同棲していた。
寧子に別れるためにも自立するため働き先を紹介する。自分がよりを戻そうとしていることや働き先を紹介したことなどを津奈木には口止めさせてちゃんと働いているのか店に来ては監視している。
村田:田中哲司
安堂が行きつけのレストランの主人。
寧子のアルバイト先にと安堂が連れていき無理やり働かせてと言っても何か理由があるんだろうと受け入れてしまう。寧子が皿を割っても失敗をしても怒らない。働いてるスタッフはみんな家族みたいなもんだというおおらかな性格。
真紀:西田尚美
村田の妻であり、ともにレストランで働く。きさくであかるい性格。
遅刻や仕事で失敗する寧子にも怒らずに接する。
莉奈:織田梨沙
店の従業員。もとはひきこもりだった。寧子にユニフォームを貸したり親切に接する。
磯山:松重豊
津奈木の働くゴシップ誌の編集長。
美里:石橋静河
津奈木の同僚。本当はゴシップ誌で働きたくないと思っており、自分の理想の記事を編集長に提出するが却下されてはやりきれない思いを過ごしている。
映画『生きてるだけで、愛。』の感想 ※一部ネタバレ
趣里さんがすごかった
どうしても菅田将暉さんに目がいきがちですが、主人公の趣里さんの演技が本当にすばらしかったです。体を張ってます。
もろくてもどかくしくてどうしようもできない苦しさがヒシヒシと伝わってきます。
ドラマなどでみる趣里さんのイメージとはまったく異なると思います。
私自身が過眠とうつを経験したことがあるので余計に「もどかしさ」や「いきづらさ」がつたわるのかもしれません。
仲里依紗さんの怪演がすごい
本当にやばいのってどっちなのかなと思うほどの怪演ぶりです。
仲里依紗さんってこういう役を演じるのが上手すぎませんか?
もともとお芝居が上手なんですけどちょっと精神的に追い込まれているというか追い込んでいるというか何か思い込んだらそれしか見えないみたいな狂気を演じる姿がすさまじいです。
過眠症で躁うつ病と聞くとあきらかに「メンタル」が病んでいるとわかるけれど、映画をみていて思うのは仲里依紗さんが演じる「安堂」が一番やばくて怖かった。
はっきり言ってストーカー。
しかも、趣里さん演じる「寧子」に対しての執念深さが異常すぎますね。そこまでするかねと狂気を感じました。
たぶん普通の社会生活を送っているというところが「狂気」を倍増させているではないかと思いました。
あなたの生活してるその隣に「安堂」のようないっけんすると普通の女性がいる・・・
ちょっと想像しただけでも実におそろしかったです。
映像が美しい
監督が多くのPVを手掛けているだけあり、照明や暗闇、夜の街などを幻想的に美しく映し出しています。
あるシーンでは躍動感があったりとうまく音楽とあわさって美しい映像に仕上がっています。
もろくてはかない雰囲気が伝わってきます。
まとめ
映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」を観たときかなりの衝撃でしたが、結構好きな作品でした。
その頃はまったくの健康体で自分がメンタル疾患になるとは思いもしませんでした。
そんな私が観て思うのはまったく同じ症状ではないから理解できない部分もあります。
でもすべてを理解しようと思うことが無理な話だと思います。それを相手にもとめてもいけないと病気を通じて感じています。
二人がこのまま同棲を続けても別れてもどうなるかまでは想像におまかせなので見終わったあとのモヤモヤがしばらくは残ります。
ただし、「生きている」これが大事で、消えてしまったらもうその先にはなにもありません。
やっぱり何も考えずに気楽には観ることはできない作品ですが、どう感じたかを誰かと話したくなる作品だと思います。
そして趣里さんの体当たりぶりにあっぱれです。
2018年製作/日本/109分